神々の母が眠る神社

花窟神社

世界遺産である熊野古道の伊勢路、七里御浜沿いにある花窟(はなのゆはや)神社は、日本最古の墓所ともされる神社です。

そのいわれは『日本書紀』によると次の通りです。

国生みの母神・伊弉冉尊(いざなみのみこと)は、火の神・軻遇突智(かぐつち)神を生んだ時、火傷を負って亡くなられ、紀伊国熊野の有馬村に葬られました。ここの土地の人々はこの神様の御魂を祭るため、花の咲く時期に花を供えて、幡(はた)を立て鼓や笛を鳴らして、歌い舞って祭りを行う、と記されています。

記載の、「紀伊国の熊野の有馬村」とは現在の三重県熊野市有馬町を指し、そこには御社殿がなく地上70メートルの巌壁を御神体とする花窟神社が鎮座しています。この神社では現在も『日本書紀』の記述のままに、2月2日と10月2日に「花の窟のお綱かけ神事」(県指定無形民俗文化財)として、大綱に縄の幡を吊るし、先端には花を飾り、鼓や笛を奏で巫女が舞を奉納します(令和2年はコロナ禍の影響で残念ながら斎行されませんでした)。

伊弉冉尊の御神体と向かい合わせにある巨石は火の神・軻遇突智神の墓所とされています。

また、花窟神社と同じ町内に鎮座する産田(うぶた)神社は、軻遇突智神を出産した場所と伝わる神社です。この神社は古代祭祀の跡があり、現在も白石の敷き詰められた本殿前に行くには、用意されている上履きに履き替えてから参入することとなっています。また、子授けや安産の御神徳がある神社で、目を瞑って拾った石が細長いと男児、丸いと女児が産まれるといわれています。

 外出のままならないご時勢ですが、古典・神典を読んで、いにしえ人の心にふれてはいかがでしょうか。

【花窟神社:三重県熊野市有馬町上地130】

【産田神社:三重県熊野市有馬町1814】